接骨院における効果的な集客方法をくわしく解説

接骨院における効果的な集客方法をくわしく解説

接骨院の開業後、効果的な集客を実現するためには、緻密なマーケティング戦略と魅力的な施設運営が必須です。本記事では、具体的な方法やポイント、アイデアを通じて、接骨院の集客成功に向けたアプローチを解説します。

デジタルマーケティングの有効活用やSNSの戦略的な運用、魅力的なイベントの企画、ロイヤルティ向上のための取り組みなど、実践的な集患手法についてのヒントを提供します。接骨院で競争力を高め、集客数を増やすための秘訣を発見しましょう。

>>接骨院・整骨院の需要増加。今から開業したい人が知っておくべきポイント【前編】

>>接骨院・整骨院の需要増加。今から開業したい人が知っておくべきポイント【後編】

集客が必要な理由

2020年に厚生労働省が発表している「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」で、2010年には3万7997か所だった柔道整復の施術所数は、2020年には5万364か所まで増加しました。接骨院の開業には、柔道整復師という国家資格が必要であり、柔道整復と接骨院は同義語を示します。

加えて、一般法人日本フランチャイズチェーン協会のコンビニエンスストア統計時系列データ(2017年~2022年)によると、2020年12月時点での国内のコンビニエンスストアは5万5924店舗です。日本にはコンビニエンスストアに迫る軒数の接骨院があり、施術所数の増加により患者の奪い合いや売上の減少が予想されます。

接骨院の利用者はインターネット上で検索後、予約をする流れが一般的であり、各院は、WebやSNS上でのマーケティングに力を入れているため、競争は熾烈を極めています。つまり、他院との差別化が重要であり、それに合った集患を行わないとに患者の呼び込みが難しくなります。

効果的な集客戦略を実施すると、患者数の増加だけでなく、収益の増加、継続的な患者関係の構築や自院のブランド向上が期待できます。集客は、効果的なマーケティング戦略と患者満足度の向上に焦点を当て、施設の魅力を最大限に引き出す方法を選ぶことが重要です。

接骨院における集客方法の選び方

接骨院における集客方法の選び方のポイントを解説します。

ターゲットに合っているか

接骨院開業にあたり、患者として想定するターゲットに対して適切な集客方法を行うことは非常に大切です。ターゲティングした層に情報が届かないことで、無駄なコストを発生し、非効率な集患になってしまいます。

例えば、ターゲットを20代としているにもかかわらず、新聞広告を出すのは不適切です。なぜなら、総務省が公開した「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、20代の新聞の読む時間は、平日、休日ともに1分にも満たない状況です。

運営する接骨院がターゲットとしている年齢、性別、地域などの特性から最善の集客手法を選び、効果を出していきましょう。

>>接骨院経営の成功手法:黒字化を達成する方法とそのポイント

>>接骨院の経営を成功させる6つのポイント

商圏範囲に合った方法か

商圏範囲とは、ビジネスにおいて患者の来院が見込める地理的な範囲のことです。商品やサービスによって商圏範囲が異なるため、事前に商圏分析を行い、狙うべき商圏、つまりエリアを把握することが大切です。

例えば、主に近隣の患者が接骨院を利用する場合、商圏は狭くなります。商圏外にアプローチしてもメリットは少ないため、接骨院の周辺でのポスティング、クーポン配りなどの実施が有効です。一方で、遠くから来院する患者がいる場合、商圏は広くなります。院周辺の集客に限定すると、患者獲得の機会を逃し、広い範囲の患者にアプローチ可能なデジタルマーケティングの施策が効果的です。

特に接骨院の場合、患者はより良い施術を求める傾向にあり、接骨師の知名度、施術内容や技術力などを重視します。患者は遠方からも診療を受けにくることがあり、商圏範囲を考慮しつつ集患手段を選びましょう。

実施後に効果測定と分析ができるか

接骨院の集客手法を選ぶポイントはいくつかありますが、初めから最適な手法を選び抜くことは困難です。その場合、効果測定や分析ができる手法だと、どの集患手法が最も効果的であったのかを判断する材料になります。

測定結果をもとに予算やリソースを最適に配分することで、投資対効果が高い手法に注力できます。また、データに基づく改善のサイクルを回し、継続した改善を行えるようになり、上司や他者に報告する際、容易に結果を可視化できます。

接骨院に合った業種別の方法か

多様な集客方法が存在しますが、自身の業種に適しているかどうかも見極めるポイントです。

J-Net21の「整骨院(2021年版)」の2021年7月14日から16日に集計された整骨院の「1. 現在の利用状況」によると、男性10%、女性9%で、まだまだ未利用者が多いと考えられます。一方で、今後の整骨院における利用意向を示す「積極的利用意向」は、男性22%、女性27%でした。特に20代女性では同意向が36%で、接骨院に対する意識が高いことがわかります。

したがって、若年層の女性ユーザーが多いSNSで、施術風景や院内の様子などを撮影した動画や写真を投稿すると効果的です。このような集患方法を活用し、自身の院が持つ魅力を広めることで、患者の獲得とロイヤルティの向上を図ることができます。

オンラインとオフラインの集客施策

集客手法はオンラインかオフラインで行うものに分類できます。双方のメリット、デメリットを理解した上で、対象の集客に効果がある手法を考えます。

オンラインの集客施策

①Web

自社のホームページ

ホームページは開業時に検討される代表的なもので、企業や個人の専門知識、情報やアイデアなどのコンテンツを発信するプラットフォームです。患者や読者に価値を提供でき、接骨院のブランド構築や信頼性の向上にも役立ちます。

例えば、ホームページに患者の施術後の感想やスタッフ紹介などを掲載することで、患者側にとって院の信頼が深まり、来院しやすい環境整備ができます。

SEO(検索エンジン最適化)対策をすることで、検索エンジンで上位表示されるようになり、接骨院を探すユーザーに自社の情報を直接的に届けることができます。立ち上げや更新に多少の手間はかかりますが、その分得られるメリットは大きく、最近ではかんたんにサイトを作成できるツールが増えているため、作成をおすすめします。

Google ビジネス プロフィール(旧:Google マイビジネス)

Googleビジネスプロフィールは、自身のビジネス情報を管理ツールです。作成した情報は、Google 検索やGoogle マップ上で表示されます。利用者は営業時間、場所、連絡先情報などをかんたんに確認できます。スマートフォンからでも情報が確認しやすく、特に接骨院は都心部に多く存在するため、Googleマップに情報があると迷わずに向かうことが可能です。

他の利用者から投稿された写真やレビューといった豊富な情報が表示されるのも特徴です。良い評価やポジティブな口コミは信頼性を高め、新規患者の信頼を得るのに役立ちます。一方で、ネガティブな評価も見えてしまうリスクは把握しておきましょう。

ブログ

ブログは、接骨に関する知識のみならず、院の雰囲気やカルチャーを伝えることができる手段です。例えば、院内の雰囲気、スタッフの日常や患者とのエピソードなどを触ることで、リアリティを感じさせる情報発信が可能です。また、コメント欄を活用することで、読者と直接コミュニケーションの機会を増やすことができます。

ただし、ブログを通した集患を実現するには、質の高いコンテンツを定期的に更新する必要があります。院側でブログ記事の執筆や品質向上のための結果分析に費やす時間の確保が不可欠です。

メールマガジン(メルマガ)

メルマガは、読者にとって価値のある情報や特典を提供することが可能です。メルマガ用のメールアドレスを収集するには、ホームページでメルマガ登録を促すページを作成したり、既存患者にメルマガ購読のメリットを伝えるなどがあります。院に適した方法でメールアドレスを収集し、購読者の意向を尊重することが重要です。

メルマガのコンテンツには、業界のトレンドやニュース、限定セールや特典など読者が興味を持つ内容を選定しましょう。見出しや文章の工夫、ビジュアル要素も活用すると、利用者のクリック率が高まります。メルマガの登録者を属性などでセグメントで分けることで、よりターゲットに合ったメッセージを届けられます。ただし、あまり頻繁に送ると読者に嫌がられる可能性があるのは注意点です。

Web広告

Web広告は、特定のターゲット層の興味関心やオンライン行動などの情報を活用して、広告を表示する対象を絞り込むことが可能です。これにより、広告を接骨院に関心のあるユーザーに限定してリーチの拡大ができ、効果的な集患が期待できます。ただし、広告の掲載枠や成果に伴い料金がかかるため、予算に基づいて入稿を行うことが重要です。

②SNS

総務省が発表した「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、2022年(令和4年)度の主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率を年代別に見ると以下の通りです。各SNSには利用する年代に特性があります。その点に触れながら集客のポイントについて説明します。

LINE公式アカウント

LINEは2023年6月末時点で月間9500万人のユーザーが利用しているメッセージアプリです。ユーザー数は他のSNSと比較して最も多く、幅広い世代が利用しています。

LINE公式アカウントを利用することで、患者とのコミュニケーションやエンゲージメントの強化、リアルタイムでの患者サポートなど、主にリピーターの集客に効果を期待できます。ただし、企業の公式アカウントは通知が多すぎるとブロックされるなど、手軽である反面、すぐに接点を断たれてしまう懸念もあります。効果的な活用のためには、適切なマーケティング戦略とコンテンツの提供が必要です。

X(Twitter)

X(Twitter)では短いテキストや画像、動画を活用して情報を発信します。キャッチーなコピーとビジュアルコンテンツを使った投稿が理想的です。フォロワーとの対話を促すために、他のユーザーのツイートをリツイートしたり、いいねをしたりすることも効果的です。これにより、他のユーザーのタイムラインに自身のアカウントが表示され、フォロワーの拡大やコミュニティの形成につながることがあります。

X(Twitter)はリアルタイム性が高いプラットフォームであり、トレンドや話題に敏感に反応しましょう。フォロワーの注目を集めて新規のユーザーを獲得することができます。一方で、不適切な投稿も拡散されやすいため、投稿内容には十分に気を付ける必要があります。

YouTube

YouTubeで集客を行うには、視聴者が価値を感じる高品質なコンテンツを制作することが重要です。魅力的なタイトルやサムネイル、視覚的に魅力的なビデオ編集など、視聴者の関心を引き付けましょう。また、例えば、施術前後のビフォーアフターの映像や、施術に関するQ&A動画など、視聴者が役立つコンテンツを提供することで院に興味を高めることが可能です。

一般的な病院の患者と比較して、接骨院の利用者は高い安全性やスタッフの技術力、優れた接客サービスを求めて、比較検討に時間をかける傾向にあります。そのため、より詳細な情報を尺を気にせず提供できるYouTubeは、接骨に関心のある潜在ユーザーと親和性があります。

動画SEOは戦略の一部です。適切なキーワードリサーチを行い、動画タイトル、説明文、タグに関連キーワードを使用することで、多くの見込み患者に情報を届けることができます。

Instagram

Instagramは画像や動画がメインの視覚的なプラットフォームであり、魅力的な写真やビジュアルコンテンツが重要です。商品やサービスの魅力を引き立たせるような高品質な写真や動画を投稿し、フォロワーの関心を引き付けることが大切です。ハッシュタグと組み合わせて広く情報拡散をすることもできます。施術内容やキャンペーン情報を提供し、新規利用者を獲得していきましょう

また、Instagramは全体の利用者の半数以上が女性で、10代~20代の7割以上が利用しており、特に若い女性向けのSNSと言えます。先述の通り、J-Net21の「整骨院(2021年版)」から、20代女性の36%が接骨院を積極的に利用したい意向を持っており、Instagramユーザーと親和性があるといえます。

TikTok

TikTokはエンターテイメント性の高い短い動画が特徴です。クリエイティブで面白いコンテンツを作成し、視聴者に興味を持ってもらうことが重要です。TikTokコンテンツをYouTubeショーツやInstagramリールなど他のSNSプラットフォームやウェブサイトにシェアし、視聴者を相互に誘導することも有効です。

TikTokはInstagramと同じく、若い世代に広く利用されているため、接骨院の潜在的な患者層と親和性が高いと言えます。そのため、TikTokを集客の一部として取り入れることは効果的です。その際、TikTokのコンテンツ作成はInstagramのリールと類似しており、リールの運用を参考にするとよいです。

オフラインの集客施策

①紙媒体

ダイレクトメール、チラシ

既に一度接骨院を訪れ、院の場所を知り得ている患者へダイレクトメールを送ることが効果的な集客施策です。これは特に、過去に利用したが現在は利用しなくなった会員に再び来院してもらうための有効な方法です。デジタルメディアとは異なり、手に取ることができる物理的な広告は、記憶に残りやすい点が特徴です。

また、近隣の地域を巡回してチラシを配布するという手段もあります。地域を限定して、特定のエリアや住民に向けて情報を提供することができ、近隣の住民を対象とした集客が容易になります。他の接骨院でダイレクトメールを利用していない場合、競合からの差別化を図ることができます。

ただし、チラシの投函を拒否している家庭も存在するため、誤投函によるトラブルを避けようとする配慮が必要です。

地域情報誌

地域情報誌とは、地域にある店舗や病院、コミュニティなどを紹介するフリーペーパーのことで、地域の飲食店、小売店や接骨院を含む療術業などの広告が掲載されています。地域に住む人々の関心に合わせた内容を提供されており、その点にそって広告作成をすることが重要です。また、地域の情報雑誌に掲載されることで、その院における信頼性の構築に結び付けられます。

一方で、地域情報誌の広告面積が大きくなるほど、掲載料が必要になります。広告効果とのバランスを見ながら、予算を決めていくことが大切です。

②リアル

街頭でのクーポン配り

街頭でのクーポン配布は古くから存在する集客手法で、接骨院の周辺住民やその地域に頻繁に訪れる人々に対して直接的に院情報を伝達し、呼び込むことが可能です。地域住民と直接コミュニケーションの機会が発生することで、地域に根付いたサービスにおける認知につなげられます。

しかし、配布したクーポンと来院数や売上のつながりを効果測定することは難しいです。街頭での配布物は受け取りを拒否する人も多いため、配布方法や場所も熟慮して実施することが肝心です。

紹介キャンペーンの実施

現在の患者に友人や家族を紹介してもらい、割引や特典を付与するという紹介キャンペーンの実施によって、低コストで効率的に新規患者を獲得できます。また信頼関係がある中での紹介であるため、自院にも信頼が伝播しやすくなり、患者のロイヤルティと満足度を高められます。

紹介キャンペーンは、特にサービスが優れている場合、非常に効果的な戦略となります。ただし、この効果的を発揮するには、紹介を促すための適切なインセンティブを患者に提供することが重要です。

面白い集客方法の事例

一般的な集客方法を行っていると、マンネリ化したり効果が伸び悩んでくることも考えられます。一風変わった集客方法を2つ紹介します。

Instagramフォトコンテスト

顧客が店舗の写真をInstagramに投稿し、ハッシュタグを付けることで参加できるコンテストです。コンテストの実施により、ブランドの認知度を向上させ、広範なユーザーに露出する機会を創出することができます。またコンテストは既存顧客が積極的に参加し、ブランドと対話する機会を提供します。これにより顧客のロイヤルティ、ブランドの信頼性が高まります。

全国の地方自治体が県の魅力を広く伝え、新たな訪問者を惹きつけるための効果的な戦略として、Instagramフォトコンテストを行っています。例として挙げられるのが、「#新潟のコメジルシフォトコンテスト」です。新潟県は、2020年から県内の魅力ある場所を捉えた写真を募集するInstagramフォトコンテストを実施しており、第9回目となる「#新潟のコメジルシ第9回フォトコンテスト」では、応募総数が6,700件というという盛況さでした。

VRを利用した展示会

VR展示会とはオンライン上の仮想空間で開催される展示会のことです。運営側はCGの空間にブースなどを用意し、参加者は空間内を自由に見て回ることが可能です。実際の展示会よりも低コストで開催でき、時間や場所が制限されないため広範囲の人に情報を提供し、集患することができます。

東京都は毎年「産業交流展」という中小企業の優れた製品や技術を一堂に展示する見本市を開催していますが、2020年に行われた「ヴァーチャル産業交流展2020」では初めてVRを利用して展示会を行いました。その後、2023年現在の産業交流展では、オフラインとオンラインでの開催を併用しています。

接骨院に適した集客の具体例

キャンペーン

通常より割引価格のキャンペーンを実施することで、患者数の増加につながります。対象者を未利用者に絞る初回キャンペーンなどで、新規患者の獲得に結び付けることも可能です。

加えて、冬の冷え対策や夏の疲労回復など季節ごとの体の不調に合わせたキャンペーンなど、多角的なキャンペーンを模索することをおすすめします。他院との差別化を図るために、独自のキャンペーンを考案し、その接骨院ならではの価値を創出していきましょう。

【サブスクリプションの導入】

サブスクリプションを導入することで、若年層が気軽に接骨院を体験できます。テモナ株式会社が提供するサービス「サブスク@」は、回数券チケットのデジタル化、院スタッフへのEC店販売上の還元やデジタル軸での施策など、さまざまなサービスを提供しています。

このプランを導入することで、リアルとオンライン両軸でのサービス提供が可能になり、患者との接点を増やしたアプローチが可能です。

まとめ

今回は、接骨院の集客方法について解説しました。

接骨院の集客活動は、緻密な戦略と方法が求められます。集患に用いる手法は多岐にわたりますが、ターゲットの特性や地域性を踏まえ、オンラインとオフラインにおける双方の方法を適切に組み合わせることが重要です。接骨院の特色を効果的にPRすることで、新規の患者の獲得と常連客のロイヤルティの向上が可能となります。有意義な集客戦略を実行し、接骨院の未利用者や潜在顧客に対して、価値ある施術体験を提供していきましょう。

接骨院には、予約システム「RESERVA」がおすすめ!
画像引用元:RESERVA公式ホームページ

接骨院におすすめの機能が豊富な予約システムRESERVAを紹介します。
RESERVA(レゼルバ)」は導入数26万社を超え、国内シェアトップクラスの実績を誇るクラウド型予約管理システムです。RESERVAは、業界・業種問わず350種類以上の業態で利用されています。

パソコン・スマホ・タブレットに対応しており、最短3分で予約システムを作成できます。管理画面もシンプルでわかりやすいため、初めての予約システムに最適です。予約受付・顧客管理をはじめとする多くの機能が無料から利用可能で、開業直後の忙しい時期でも使うことが可能です。

顧客管理や予約業務をシステムに任せることで、集客により多くの予算と時間を割くことができます。ぜひ利用を検討してみてください。