接骨院・整骨院の開業における内装工事の4つのポイント

接骨院・整骨院の開業における内装工事の4つのポイント

接骨院の開業における内装工事は、今後の医院の経営を左右する重要な取り組みです。内装工事を実施する際には、「構造設備基準」の要件を満たす必要があり、多くの注意するべきポイントが存在します。また、内装工事費用を削減するコツを理解しておくことで、効率的に資金を活用できます。

本記事では、構造設備基準の詳細から、内装工事で重要な4つのポイントや内装工事費用を削減するコツ、接骨院向けの予約システムについて解説します。

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開業する際に確認すべき「構造設備基準」

「構造設備基準」は、接骨院を開業する際に遵守する必要のある、法律で定められた一連の要件です。接骨院は、内装工事を実施する前に、要項を満たしているか確認する必要があります。

接骨院における構造設備基準には、「省令」と「指導事項(基準)」の2種類が存在します。

国の法令に基づいた「省令」

国の法令に基づいた「省令」では、施術室、待合室、衛生面という3種類の基準が設けられています。基準を定めている条項と具体的な内容は以下の通りです。

省令名条項
柔道整復師法施行規則第十八条 法第二十条第一項
第十九条 法第二十条第二項
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律施行規則第二十五条 法第九条の五第一項
第二十六条 法第九条の五第二項

施術室の基準最低面積:6.6平方メートル以上
換気:室面積の7分の1以上を外気に開放できること、または適切な換気装置を設置
待合室の基準最低面積:3.3平方メートル以上
衛生面の基準常に清潔に保つ
採光、照明、換気を十分にする
施術に使用する器具や手指の消毒設備を備える

上記の基準は、患者の快適性と安全を保障するために設けられています。接骨院は、開業する際にすべての基準を満たしている必要があるため、法令に則った適切な施設設計が求められます。

保健所で定められた「指導事項(基準)」

「指導事項(基準)」は、保健所がエリアの状況に合わせて独自の判断により設けている基準です。基準の具体的な内容は自治体ごとに異なり、保健所の担当者による裁量が大きく影響します。例として、下記に施術所(柔道整復)の開設に定められている東京都板橋区の指導事項を紹介します。

施術室と待合室の区画・施術室、待合室の区画は、固定壁で上下左右に完全に仕切られているものであることが望ましい。ただし、防災上天井部分を完全に仕切れない場合はこの限りでない。
施術台・プライバシーの保護に配慮して、施術台ごとにカーテンを設けることが望ましい。
・施術者の人数に対し、施術台の数があまりにも多いのは望ましくない。
施術所の独立性施術所は、住居や店舗などと構造上、機能上独立していることが望ましい。ただし、一定の条件で施術室以外の構造設備を共用することはやむを得ない。注:詳細は当該保健所にお問い合わせください。
その他消火用の器具機械を設置してください。

指導事項は地域によって異なるため、開設予定地の保健所に事前に相談し、図面などを用いて具体的な指導を受けることが不可欠です。

構造設備基準における注意点

接骨院の構造設備基準には、注意すべきポイントが存在します。それぞれの注意点を把握し適切に対応すれば、接骨院のスムーズな開設と運営につながります。

2人以上の施術者における柔道整復と鍼灸・マッサージの兼業

1人で柔道整復師と鍼灸師の施術を行う場合、1室での兼務が認められています。しかし、施術者が2名以上になると、柔道整復と鍼灸・マッサージの施術を行う部屋を完全に区分する必要があり、次のような注意点が発生します。

施術室の基準・構造設備基準を満たした施術室が2室必要になる
施術室の区分・柔整室と鍼灸室の区分にカーテンやパーテーションを認めない保健所が多い
施術室への入り口・各施術室への入り口は別々に設ける
・待合室の面積に関する解釈は保健所によって異なる
兼業の場合の施術室・柔整師とマッサージ師の兼業は、「柔道整復師法」と「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」に基づいた別室対応が求められる

上記の注意点への対応を怠ると、開業後に改装工事や転居が必要になり、余分な費用が掛かる可能性が高まります。そのため、事業の拡大を考えている場合は、開業前に柔道整復と鍼灸・マッサージの施術室を別々に設計しておくべきです。

開設届の提出

開業届を提出する際には、事前に保健所へ平面図を持参して、建物の構造上の事情などについて相談することが大切です。

施術所への開設届の提出期限は、10日以内です。自身で記入して保健所に提出しても、保健所による実地検査や改善指導を受け、レイアウトの変更を余儀なくされる可能性があります。レイアウトが決定した段階で平面図を持参して保健所に事前相談することにより、問題点を事前に確認し、開業届の期限内提出が困難になることを防げます。

内装工事で重要な4つのポイント

接骨院の内装工事を実施する際は、事前の重要事項の確認が欠かせません。ここでは、接骨院の内装工事で重要性の高い、4つのポイントを解説します。

①デザイン・レイアウト

接骨院のデザインやレイアウトは、患者に与える清潔感や居心地のよさを大きく左右します。特に、色や素材は医院の第一印象を決める要素です。下記に、接骨院に使用する色や素材による、患者に与えやすい印象の例をまとめました。

グリーン穏やかでリラックスできる空間
ホワイト清潔感があり、信頼性の高い印象
ピンク優しさを感じる女性向けのかわいらしさ
ブラック高級感があり、プロフェッショナルな雰囲気
ブルー気品があり心が落ち着く空間
木目調ナチェラルでリラックスできる空間

複数の色や素材を組み合わせることも可能ですが、あまり混在させると落ち着きのない空間になります。接骨院のコンセプトやターゲット層に適したデザインやレイアウトを選び、統一性を持たせることが大切です。

②設備・インテリア

接骨院の内装工事では、法的な「構造設備基準」を満たした上で、医療設備や施術環境を整えることが重要です。事務所として使用していたテナントを接骨院に改装する場合は、大型の機器や家具を配置する際に、余分なスペースが生じやすいです。そのため、医療機器や家具の配置計画を、事前に策定しておく必要があります。

また、接骨院を利用する患者にとっては、院内の段差が大きな負担となります。車椅子や松葉杖を利用する患者の来院を想定して、床の段差をなくしたり、出入り口を自動ドアにするなどして、積極的にバリアフリー化を推進することが重要です。

③受付・収納スペース

施術スペース以外にも、受付や収納のスペースに注意を払うことが大切です。受付スペースは患者の応対のみならず、多くの事務処理も行う場所です。実務を行いやすい広さを確保しつつ、保険証やカルテなどの個人情報が、患者側から目視できないように配慮した設計にする必要があります。

また、受付ではパソコンやプリンター、電話をはじめとした多くの各種電子機器を使用します。患者の足がケーブルに触れて転倒する危険性もあるため、機器の設置場所の近くで電源を確保できるようにコンセントの数や配置も工夫が必要です。

書類や備品を収納するスペースへの配慮も大切です。カルテには保存義務があり、患者の最終来院から5年間は必ず保管する必要があります。そのため、使用する書類が容易に取り出せ、患者の目に個人情報が触れないような、十分なスペースの確保が求められます。

④従業員と患者の動線

従業員と患者の動線を設計する点も、接骨院の内装をデザインするポイントです。施術器具に必要な電源コンセントの数が少なく、備品の保管場所が施術台から遠い位置に配置されていると、従業員の作業効率や患者の満足度に悪影響を与えます。

また、施術用ベッドの間隔が狭いとスタッフが互いにぶつかる可能性があるため、幅の広い通路を作ることが大切です。従業員の作業や患者のプライバシーなどを考慮して内装のレイアウトや設備の配置を検討することで、快適な接骨院の環境を実現できます。

内装工事費用を削減するコツ

治療院の内装工事費用は、内装工事を依頼する企業の選定や居抜き物件の活用、システムの導入により、安く抑えることが可能です。

接骨院の内装費用は、坪単価で決まるため、広い接骨院ほど内装費用は高くなります。接骨院における内装費用の相場は、約200万円~600万円ですが、デザインにこだわったり、自費メニューで複数の治療機器を用意した場合は、より費用を要する場合もあります。

複数企業の見積もりを比較する

接骨院の見積もりを複数社に依頼することで、希望する内装の実現に必要な工事金額の相場を掴めます。工事企業側にも相見積もりであることを伝えておくと、企業同士の競争意識が働き適正価格の提示が促されます。

ただし、最も見積額が低い企業が、最も品質の良い企業とは限らないため、注意が必要です。なかには、低品質な材料を使用して工費を抑える企業や、オプションの追加を前提として見積もりを出す企業も存在します。結果として修繕費が増大したり、追加工事費が高額になる可能性があるため、提示された見積り内容の慎重な吟味が必要です。

居抜き物件を探す

自身の理想に近い居抜き物件を見つけられれば、工事費用を大幅に抑えられます。居抜き物件は、前借主が整えた内装がそのまま残されている物件です。

接骨院の場合は、整骨院や整体院など同様の「構造設備基準」が適用される、同業種の居抜き物件を選ぶとよいです。同業種の居抜き物件であれば、施術室や待合室の規定を満たしており、電気や水道の配備も十分なケースが多いため、工事費用だけでなく工期短縮にもつながります。

システムの導入

さまざまな業務の効率化のためにシステムを導入することは、内装工事のデザインやレイアウトに影響を与えます。例えば、受付に自動来院システムを導入すると、カウンタースペースを縮小でき、待合室や施術室のスペースを拡大する余地が生まれます。

さらに、予約システムの導入により、予約や患者情報がデジタル化されるため、内装工事費用だけでなく、患者情報管理にかかっていた人件費などのコストも削減可能です。

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接骨院向けの予約システムとは

接骨院の向けの予約システムは、接骨院の予約や患者の管理を自動で行うシステムです。院における業務の効率化はもちろん、集患に役立つ機能を数多く搭載しています。ここでは、予約システムを導入する目的と予約システムの導入メリットについて解説します。

予約システムの導入メリット

予約システムを導入することで、接骨院の自宅開業において大きな手助けとなります。以下は、そのなかでも特に効果的なメリットです。

・業務効率化
予約システムは予約受付や患者の情報を自動で管理します。人の手により紙やExcelで管理する必要がありません。書き間違いや聞き間違いなどの人為的ミスも発生しなくなり、正確で効率的な接骨院の運営が実現します。

・費用削減
予約システムの自動管理機能は、費用の削減にも効果的です。予約や患者の情報はデータ化されるため、大量の紙や管理するスタッフに費やしていた経費は低減されます。

・マーケティングの強化
予約システムを通じて集められる患者のデータを分析し、ターゲット市場の動向や患者の需要を把握することができます。このデータをもとに、効果的なマーケティング戦略を立案可能です。

・顧客体験の向上
予約の確認や変更をオンラインでかんたんに行えることで、患者の利便性が向上します。また、待ち時間の短縮やスムーズな受付が実現し、患者の満足度も高められます。

接骨院・整骨院の自宅開業に役立つ予約システムの機能

予約システムは数多く存在しており、それぞれ搭載している機能は違います。下記に、接骨院に役立つ予約システムの機能を紹介します。

カルテ機能

カルテ機能は、予約ごとに患者の対応時の記録や、患者の特記事項などを記録できる機能です。予約や患者の情報の管理、施術当日のカルテ記入などの業務など、あらゆる面で業務を効率化できます。

クーポン機能

クーポン機能は、予約促進に役立つ割引クーポンを、予約システムから手軽に発行できる機能です。来院率の向上や、顧客ロイヤリティの向上に役立ちます。

キャンセル待ち機能

キャンセル待ち機能は、予約が埋まっている予約枠にキャンセルが生じた際、キャンセル待ちをしている予約者に対して自動で通知する機能です。患者獲得の機会を逃さず、効率的な接骨院の経営を実現します。

まとめ

本記事では、接骨院・整骨院の内装工事において注意すべき重要な4つのポイントを紹介しました。4つのポイントは、デザインやレイアウト、設備やインテリア、受付や収納のスペース、従業員と患者の動線です。また、「接骨院を開業する際には、「構造設備基準」を遵守する必要があり、その要件を正確に理解し、適切に対応することが求められます。内装工事費用を削減するコツとしては、特に予約システムの導入が有効です。

接骨院・整骨院の内装工事にお悩みの人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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美容室運営には、予約システム「RESERVA」がおすすめ!画像引用元:RESERVA公式ホームページ

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