接骨院の物件選びと開業で成功するコツを解説

接骨院の物件選びと開業で成功するコツを解説

2020年に厚生労働省が発表している「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」で、2010年には3万7997店舗だった柔道整復の施術所数は、2020年には5万364店舗まで増加しました。接骨院の開業には、柔道整復師という国家資格が必要であり、柔道整復と接骨院は同義語を示します。

加えて、一般法人日本フランチャイズチェーン協会のコンビニエンスストア統計時系列データ(2017年~2022年)によると、2020年12月時点での国内のコンビニエンスストアは5万5924店舗です。日本にはコンビニエンスストアに迫るほどの数の接骨院があります。施術所数の増加により発生する患者の奪い合いや売上の減少で、接骨院の廃業件数が上昇することも考えられます。

しかし、明確なコンセプトや目標を持ち、適切なステップで準備を進めることで安定した接骨院経営が可能になります。その中で成功の鍵を握るのは物件選びです。立地やアクセスの良さ、広さなどのバランスが取れている物件を選ばないと、患者を呼び込むことができず、利益につながらないためです。

今回は接骨院の物件選びについて、流れやポイント、探す方法、契約時の注意点などを解説します。

接骨院の物件選びの流れ

ただ物件を探すだけでなく、事前に決めておくべきことや確認すべきポイントがあります。余裕を持ったスケジュールで、早めに行動できると良いでしょう。新たに物件を建てる場合もありますが、ここでは賃貸物件を契約する場合の物件選びの流れを説明します。

1. 事業計画の作成
イメージしたことを創業計画書としてまとめ、開業を実現するために、金融機関やスタッフや関係者にどのような接骨院にしたいかをイメージしてもらう必要があります。どういった規模で展開するのか、財源や収益見込み、コンセプト、家賃や人件費などを綿密に計算します。

2.物件の希望条件を選定
事業計画の作成で見えた必要な物件の条件を、接骨院の特性も踏まえて決めましょう。その物件におけるエリアの特徴、人通りやアクセスのしやすさなどを考慮した上で、売上見込みに対して払い続けられる賃料であるか考えておきます。

3. 物件探し・内見
不動産業者と相談し、物件を選択します。開業したいエリアの知識が豊富な不動産仲介業者に依頼すると、スムーズに物件を探すことが可能です。内覧をすることで事前の希望条件とマッチしているかを確認できます。施術される側にとっても快適な空間であるかという視点で見るのも重要です。

4. 申し込み、審査
経営したい物件が決まったら、なるべく早く申し込む必要があります。申し込んですぐに契約が成立するわけではなく、賃料の支払い能力があるか、事業計画が妥当であるかなどの審査があり、追加で提出物を求められた場合はその指示に従わなければいけません。

5. 契約締結
審査が通過してはじめて、正式な契約になります。契約書の条項を確認したうえで、内容に問題がなければ署名と捺印をします。

6. 引き渡し
本契約後、鍵の受け取りが完了すると、物件の引き渡しが行われます。多くの場合、鍵を受け取った日が契約開始日で、引き渡しが完了したら機材などの準備を進めていきましょう。

物件を選ぶ前に事業計画で決めておくこと

ターゲット

ビジネスを始めるうえでターゲットの設定は、今後の方針や売上に直接関係するため、非常に大切なポイントです。年齢層や性別、未婚か既婚か、健康状態や職業など、さまざまな側面のターゲットが考えられます。

メインターゲットが決まれば患者単価の算出が容易になり、売上予測を立てやすくなります。さらにターゲットの選定により、どういった場所に開業するかと接骨院のコンセプトを決める上でのヒントにもなります。

コンセプト

コンセプトは、誰にどのような施術をいくらで提供するかを決めるなど、接骨院の開業時にベースとなるテーマを示します。医院のコンセプトと想定される患者の属性を一致させることが重要です。

例えば、子育てにより腰痛をかかえる女性への施術提供をコンセプトづくりをします。託児サービスを備えた施設づくりがあれば、医院に子供の同伴が可能になります。

コンセプトに対して、的確な施術や設備を提供すれば、患者の利便性が高まり、リピートにつながりやすくなります。

設備、規模

開業資金は大きく分けると初期投資と運転資金に分けられます。初期投資は店舗資金、内外装資金、機械、備品資金や宣伝費が含まれます。運転資金では、人件費、光熱費やリース料など接骨院の経営で費用な資金を示します。

接骨院の開業資金にあたって、どのくらいの売上で初めに投資した分を回収して、黒字化できるかを計算すると、価格設定や賃料の参考に使えます。

資金調達

資金計画後に自己資金のみで開業ができないと判断した際は、資金調達を検討する必要があります。資金調達先は、日本政策金融公庫や銀行や信用金庫などの融資が一般的です。

融資が下がるかにおいて、開業をする地域の人たちにどのように貢献できるかを明確に伝えられるかが重要な要素です。事前に開業動機をしっかり見つめ直すことが不可欠です。

賃料の上限

これまでの条件を総合して、払い続けられる賃料がどのくらいまでなのか決めます。どんなに良い物件があっても、売上に対して賃料が高すぎると借り続けることはできません。軌道にのるまでの賃料が事前に用意できているかも忘れてはいけないポイントです。

毎月のランニングコストとしてかかり続けるため、無理のない範囲で払える賃料であるか考慮しなければいけません。

物件選びのポイント

事業計画の作成で、イメージする物件の条件を洗い出したら、次は物件の探索です。ここでは具体的にどのような点が物件選びのポイントになるか解説していきます。

立地とエリア

接骨院の立地は物件選びの中で最も重要です。駅前、オフィス街、商店街や住宅街など、エリアごとに客層が異なります。

ターゲット層がよく来る場所でわかりやすい立地かどうかに加えて、人通りが十分かもチェックしましょう。事業計画で決めたターゲットやコンセプトに合わせて、場所を選定しておくことが大切です。

面積と規模

接骨院で使用する機器や設備の大きさにより、必要な面積を算出します。医療機器や器具の備品を搬入する場合、広めのスペースが必要になります。導入する機器の大きさを事前に把握して物件を選ばなくてはいけません。

一度に多くの患者を施術するために大規模な医院にするのか、賃貸費を抑えた小規模なものにするかなど、ターゲットや理想の運営方針に合った最適な広さを見つけましょう。

周辺環境のリサーチ

物件やエリアの特性を知るだけではなく周辺の環境も大切です。周囲のオフィスビル、競合となる接骨院の有無や治安なども集客を担うポイントです。内見で確認したり、事前に調査していた点の答え合わせをすることができます。

物件の種類

居抜き物件とスケルトン物件

テナント物件は、居抜き物件とスケルトン物件という2種類に分けられます。居抜き物件は前のテナントが使用していた内装や設備がそのまま残っている物件のことを指し、スケルトン物件は基本的な建物の構造だけが残され、内装や設備が一切ない物件のことを指します。

居抜き物件

居抜き物件は既存の設備やインテリアが利用できるため、新規開業に必要な初期投資を大幅に減らすことができます。特に接骨院には専用の機器やインフラが必要ですが、これらが既に設置されている場合、設備投資の節約になります。

しかし、既存の設備や内装をそのまま利用することになるため、自分の理想とする店舗デザインや設備配置を行うことが難しい場合があります。設備が既に故障している場合には修理のコストが発生する可能性も想定されます。

スケルトン物件

スケルトン物件は空の状態の物件なので、内装や設備、間取りなどを自身の希望に合わせて自由に設計できます。自分だけのオリジナルな接骨院を作りたいと考えている場合には最適です。

しかし、内装や設備の導入にはかなりの費用や時間がかかることが多いです。特に内装に関しては専門の業者に依頼することが多いため、その費用も考慮に入れる必要があります。

この点から、スケルトン物件を借りる場合、開業までの時間が長くなる傾向にあります。そのため、開業までの時間を短くしたい事業者の方には向かない物件です。

路面物件

路面物件は1階にあり、道路に面している施設です。通行人の目に留まりやすく新規利用者を獲得しやすいため、はじめて開業する人や目新しいサービスを行う場合に適しています。

一方で独立した店舗のため、防犯対策やセキュリティ費への初期投資が要ります。土地の面積や建築規制により、店舗拡張の自由度が制限されることもある点には注意が必要です。

医療モール

医療モールは、いくつかの接骨院が1カ所に集まった物件で、患者にとっての利便性だけでなく、開業や運営の面でメリットの多いスタイルです。特に挙げられる利点は、共同設備が利用できることから費用を抑えられることです。また、大型商業施設やショッピングモール近辺に併設されているため、患者の獲得が容易になりやすいことです。

反対に、内装を決める業者が決まっていて自由にできないことなど、医療モール側の意向に従う必要があります。また、同じモール内に競合院があることによる患者の奪い合いもあるため、入念な調査が必要です。

賃貸マンションやアパート

賃貸マンションやアパートの一室で接骨院を経営すると、少額の資金で始められます。敷金や家賃は必要ですが、モールなどテナントと比較すると低コストになります。施術者は少人数から始めるため、利益率は高くなり、リスクを下げて開業ができます。

一方で、目につく場所に店舗がないため、認知がされにくい点が懸念点です。マンションの一室での運営だと、同時に大人数の患者における施術ができないため、予約管理体制も大切になります。

物件の探し方

物件を探す際、インターネットの物件サイトで希望物件を絞り込み、サイト経由で不動産仲介業者に行く方法が、効率の良い探し方です。事前に決めたターゲットや接骨院のコンセプトと合った物件を選ぶために、不動産業者に希望条件を伝えた上で専門的な意見を聞くことが大切です。

物件のエリア周辺を自分で歩き、競合となる接骨院の有無や立地など、周辺環境を確認することが不可欠です。

内見のポイント

物件探しの時に絶対に外せないのが内見です。データ上は好条件な物件でも実際に内見に行くと、入口がわかりづらいなどのギャップを感じることがあります。同時に、隠れたニーズを洗い出すこともできます。

物件そのものだけではなく、周辺環境を確認できるのも内見のメリットです。内見時に見ておくと良いポイントの例を以下に記載します。

【物件】
・入口の入りやすさ、わかりやすさ
・体感の広さ
・間取り
・設備内容
・コンセントの有無、数

【周辺環境】
・アクセス
・周辺の雰囲気
・競合店舗の有無
・治安
・ターゲット層が歩いているかどうか

物件契約後の流れ、準備

無事審査が通過したら物件の契約です。

契約を確認し、賃料や初期費用、退去時の手続きなど問題がなければ署名捺印します。疑問点があれば弁護士などの法律の専門家に相談したり、不動産業者に質問しておくと安心です。定期借家契約や居抜き物件の譲渡契約など、ややこしい契約がないかあらかじめ確認しておきましょう。

契約後は内装工事の依頼や、その他必要なものの準備、購入を進めていきます。接骨院の開業件数は過渡期を迎えていることから、物件の種類やトレンドについては絶対に勉強しておく必要があります。

まとめ

今回は接骨院の物件探しについて解説しました。物件選びはビジネスを成功させるためにとても重要なポイントです。一度決めてしまうとかんたんには引っ越しづらいため、最初に丁寧に準備をして、ターゲットの選定や立地などの条件を洗い出し、患者満足度の高い接骨院の運営を目指しましょう。

接骨院運営には、予約システム「RESERVA」がおすすめ!

画像引用元:RESERVA公式ホームページ

接骨院におすすめの機能が豊富な予約システムRESERVAを紹介します。
RESERVA(レゼルバ)」は導入数26万社を超え、国内シェアトップクラスの実績を誇るクラウド型予約管理システムです。RESERVAは、業界・業種問わず350種類以上の業態で利用されています。

パソコン・スマホ・タブレットに対応しており、最短3分で予約システムを作成できます。管理画面もシンプルでわかりやすいため、初めての予約システムに最適です。予約受付・顧客管理をはじめとする多くの機能が無料から利用可能で、開業直後の忙しい時期でも使うことが可能です。

顧客管理や予約業務をシステムに任せることで、物件選びにより多くの予算と時間を割くことができます。ぜひ利用を検討してみてください。