接骨院を有人運営か無人運営を決めるうえでの各要綱

接骨院を有人運営か無人運営を決めるうえでの各要綱

2020年に厚生労働省が発表している「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」で、2010年には3万7997店舗だった柔道整復の施術所数は、2020年には5万364店舗まで増加しました。柔道整復師は、2010年では5万428人でしたが、2020年には7万5786人まで上昇しました。接骨院の開業には、柔道整復師という国家資格が必要であり、柔道整復と接骨院は同義語を示します。

こうしたニーズの高まりから、独立して自身の接骨院の開業を考える人も多いでしょう。接骨院の運営をはじめるとなった際、運営方針の確立は重要なポイントです。接骨院では、有人であるべきポジション、有人か無人かを方針で決められるポジションがあります。開業前にどのような院にしたいかを深く考え、運営方針を固める必要があります。

そこで本記事では、接骨院における有人運営、無人運営それぞれの特徴や実際に運営する際のポイントなどを解説します。

運営方針ごとの特徴

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 6797f3d2-926c-4730-9f74-dd61363128bb.png

個人事業は、運営方針によって費用や施術のクオリティなどが大きく異なります。接骨院では、柔道整復師のポジションは必須であり、現代技術では完全に機械やシステムにとって代わることはできません。しかし、その他の各業務において、システム導入で負担を軽減することができます。特に受付事務や予約業務に関しては、無人化できるシステムがあります。

今回は有人と無人それぞれのメリットとデメリットを以下にまとめました。

メリットデメリット
有人運営・トラブル対応の迅速性
・患者のロイヤリティ向上
・スタッフの人件費
・予約の煩雑化
・人的要因のミス
無人運営・人権費の削減
・セキュリティ対策
・スムーズな決済対応
・初期投資やメンテナンスの費用
・技術的障害
・緊急事態への迅速な対応の難しさ

有人運営

有人運営の最も大きなメリットは、患者と直接的なコミュニケーションを取れる点です。これは信頼関係の構築や個人のニーズに対応できるなど、接骨院において重要な意味があります。例えば、患者とのトラブルや急な予定変更に柔軟な対応が可能です。人とのコミュニケーションを重視した患者をターゲットとするなら、有人の受付対応で患者満足度やロイヤリティを向上できます。

一方で、有人運営では予約管理や個人情報の管理、スタッフの管理など膨大な量の情報を人が扱うため、人為的ミスを誘発する可能性があります。接骨院の受付にスタッフを雇う際には、スタッフ1人あたりの人件費がアルバイトでも時給1,000円から1,500円ほどかかります。人件費の予算を計画を立てたうえで、スタッフを雇用することをおすすめします。

無人運営

接骨院の受付を無人化することで、人的要因のミスがない予約のスケジューリングや受付時間の短縮など、効率的な運営が見込めます。人が行うより迅速に管理を行え、患者の待ち時間を減らし、診療効率の向上につなげられます。例えば、予約システムの導入で、予約管理の効率化のみならず、受付のスタッフが不要になります。スタッフにかかる人件費の削減により、運営費の節約や診療料金を低く抑えることが可能になります。

しかし、無人化には多くの問題もあります。無料で導入できるシステムもありますが、多くのシステムが有料です。そのうえで、人件費をより安く抑えられるかを判断する必要があります。受付のシステム化では、電子的エラーやネットワークエラーなど技術的な障害が発生することもあります。緊急事態に対応できるスタッフがいない場合、対処に遅れることがあります。

これらの問題を事前に予測し、発生したときの対策を考慮したうえでシステムの導入を試みる必要があります。テクノロジーの導入は、接骨院の運営を大きく便利に快適にする一方で、人間の感受性やコミュニケーションに取って代わることは難しいことを理解しなくてはいけません。

スタッフ採用における要点

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: af7a51f4-04ae-4c65-b93e-05323620b297.png

採用する目的を明確にする

どのような役割のスタッフを採用するのか、どの仕事を任せるために雇うのかなど、目的を明確にしてから求人情報を公開しましょう。採用後の仕事内容が明確でないと、応募者の減少や採用後の早期退職が予想されます。

接骨院の場合、柔道整復師のほかに、受付事務といった役割があります。採用目的をはっきりさせて求人を出すことで、応募者との齟齬が無くなり、トラブル発生の回避につながります。

採用条件を具体化する

求人情報には、明確な目的と同時に、具体的な実務内容が求められます。未経験可や週2日以上勤務など、求める条件を詳細に提示することが重要です。働いた際のイメージがつきやすく、入社後に応募者が違和感を持ちにくくなります。

採用条件で重要なポイントは、応募のハードルを上げすぎないことです。高い希望や条件が多いと、応募すらない状態が続く可能性があります。これは外せないという必須条件や要望を明確にし、無理に求めすぎないことで応募者が集まりやすくなります。また応募方法も、履歴書不要や専用サイトからの応募など、より手間のかからない方法の導入が理想的です。

接骨院の強みを押し出す

求人サイトなどでスタッフを募集する際、月収〇〇万円以上可能や週2日勤務可能など接骨院の強みとなるポイントをアピールが必要です。ただし、強みをただ並べたり誤解を与えたりする内容は、逆に求職者を遠ざけることがあります。ここでは接骨院のアピールポイントを強調できる方法を5つ紹介します。

・自院のビジョン:自院の価値観や目指している方向性を明確にすることで、応募意欲が高まり、求めている人材とも出会いやすくなります。

・環境の特徴:仕事の雰囲気や、院内環境など具体的な職場の特徴を示すと、求職者自身が働く想像をしやすくなります。

・成長の機会:働いて得られるスキルや知識を記載することで、やる気のある求職者を得られる可能性が高まります。

・福利厚生:健康保険、有給休暇制度、退職金制度、フレキシブルな勤務時間など具体的な福利厚生の説明があると、求職者は安心して応募できます。

・写真や映像:実際の職場の写真や動画があると、働くイメージを連想しやすくできます。また、院内が清潔で綺麗であれば、その院で働くモチベーションの向上につながります。